数珠(お念珠)

ご不幸があったときに、町内会や社内などで回覧される「訃報のお知らせ」を目にされたことはありませんか?
故人様や喪主様のお名前・続柄、式場の場所や時間の案内と共に、様式(仏式か神式かなど)が記載されています。
様式によって、のし袋の表書きが違いますし、また、準備するものが違うためです。

神式やキリスト教式では必要ありませんが、仏式の場合には『数珠』をご準備ください。

『数珠』は元々、僧侶が御経・念仏を唱える際、その回数を数える為に使われていました。
インドから中国へ、そして日本に伝わってきたのは飛鳥時代。
当時は僧侶や貴族など限られた人々のものでしたが、鎌倉時代に『念仏によって救いが得られる』という教えが流行したことで、一般の人々にも数珠が広まりました。

数珠は、左手で持つようにします、諸説ありますが、左手が仏様の清浄な世界を表し、右手が私たち現世の人間が住む不浄の世界を表している、というものがあります。手に通し仏様に手を合わせれば、煩悩が消え功徳を得ることができ、仏様と心を通い合わすことのできる大切な法具であり、個人で持つことのできる最も身近な仏具となったのです。

現在では、葬儀や法事、お墓参りの際に手を合わせるときに用いるものという認識ですが、一昔前までは、皆がそれぞれ 【お守り】 として持っていたようですし、結納道具のひとつでもあったそうです。

参列の際は、マナーとしてお持ちになることをお勧めします。
しかし、通夜には急なことで準備が出来なかった、仕事帰りに直接参列した・・・などの都合もあると思います。
その場合、人に借りたり、一つの数珠を皆で使いまわしたりすることはお勧めしません。

前述したとおり、数珠は持ち主の大切な 【お守り】 です。
お持ちでないのであれば、数珠なしでも手を合わせ、故人様を供養する気持ちの方が大切ではないかと思います。

ネットで検索すると「数珠は自分で買うものではない」というワードが出てきます。
そういった風習の地域もあるようですが、どうやら御香典には前もって準備していたようだから、新札はタブー、などいったマナーと混同して、間違った情報も流れています。
ご自分の宗派が仏式であれば、ぜひ、数珠をひとつお持ちになってはいかがでしょうか。

また、お参り中に数珠が切れてしまうことはよくある事です。
決して縁起の悪いことではありませんのでご安心ください。
仏具店で直してもらえますので、珠を集めてお持ちください。