夏休みの自由研究にどうでしょうか「お地蔵様」
家の隣の祠の中 ・・・
峠や田舎のあぜ道にひっそりと ・・・
お寺の境内や墓所には六体並び ・・・

立派な仏像は見たことがないと言われる方も、小さなお子さんも、素朴で愛らしい【お地蔵様】は見かけたことがあるはずです。日々の生活の中、様々な場所でみかける一番身近な仏像です。
一見 下っ端(失礼します)かと思ってしまうお地蔵様、実は仏教界のスーパーマンなのです。

仏様の階級で一番位が高いのは、悟りを開き涅槃に到達した ≪如来≫(釈迦如来 ・ 阿弥陀如来、大日如来など)
二番目が、如来になるための修行中の ≪菩薩≫(観音菩薩、弥勒菩薩、普賢菩薩など)
その下が、≪明王≫(不動明王 ・ 金剛夜叉明王 ・ 愛染明王など) ≪天部≫(毘沙門天 ・ 帝釈天 ・ 韋駄天など)と続きます。

お地蔵様の正式名は【地蔵菩薩】です。如来になるため修行中の、二番目に位の高い≪菩薩≫の仲間です。

「釈迦如来」の入滅(亡くなって)から、天上界で修行中の「弥勒菩薩」が如来となって現れ人々を救うまで「56億7000万年」かかると言われているのです。
気の遠くなるどころではない程の長い間、命あるものは≪六道(りくどう)≫を輪廻転生しながらの苦しみが続きます。その苦しみから人々を救い、極楽浄土へ導くため手を差し伸べて下さるのが【地蔵菩薩】なのです。

≪六道(りくどう)≫とは、『天道・人間道・修羅道・畜生道・餓鬼道・地獄道』の六つの世界。死後、生前の行いにより、天道へも地獄道へも生まれ変わります。それぞれの世界で苦しんでいる人々を救済するべく、錫杖や宝珠をもって、歩き回っているのが六地蔵です。
赤ちゃんを腕に抱えた姿の「子安地蔵」は安産を守護しています。
「身代わり地蔵」は、災難に遭った人の苦しみを身代わりに引き受けて下さいます。
生まれる前、また生まれて早くして亡くなった子供を守って下さる「水子地蔵」は子供を抱えたり、賽の河原へ鬼退治に駆けつけるために錫杖を持っていたりします。
峠や辻のお地蔵さまは、疫病や禍が集落に入らないための結界を張る道祖神の役割をしています。
その他にも「とげぬき地蔵」「化粧地蔵」数多くの、色々な姿かたちをしたお地蔵様があります。そして実はあの閻魔大王もお地蔵様だという話も ・・・
仏教が日本に伝わって以来、庶民の願いを請けるべく、インドや中国にはない独自の変革をとげスーパーマンになったお地蔵様。

夏休みを利用して、町のお地蔵様を巡ってみてはいかがでしょうか。

お参りの際の作法として、手を合わせて地蔵真言「おん・かかか・びさんまえい・そわか」と三回お唱えしましょう。「類まれなる尊いお方」という地蔵菩薩への讃歎の気持ちが込められています。