火葬場での「箸渡し」

2024.01

葬儀にまつわる慣習の中に「箸渡し」というものがあります。 「収骨」や「御骨上げ」とも呼ばれており、火葬場で故人の火葬後、家族や親族が専用の長い箸を持ち御遺骨を骨壺へと納める儀式です。

この「箸渡し」という言葉は、無事にあの世へ行けるように橋渡しをお手伝いするという由来から「橋」と同じ響きの「箸」が使われているのだそうです。箸渡しの際に用いられる「骨箸」ですが、よく見てみると一本ずつ長さや素材が違うという事に気付かれる方もいるかもしれません。これは諸説ありますが「急な不幸でちゃんとした箸を用意することができなかったため」などの意味があります。また、子供の頃に食事中、箸から箸で料理を渡そうとして注意されたことはありませんか。これは火葬場での箸渡しを連想させるため箸渡しや違い箸など食事の際のマナーのひとつとされています。

収骨の作法は地域によっても違いがありますが、2人で一組になり同時に遺骨のかけらを箸で拾って骨壺へ納める方法、1人が遺骨を拾い上げもう1人が受け取り骨壺へ納める方法など様々です。箸渡しを行う際には故人を思い浮かべながらお浄土へと橋渡しができることを願いながら丁寧に行いましょう。